こんにちは、高専卒の優です。今回は、現役公務員の高専先輩に「実際、市役所ってどうなの?」って聞いたお話をお伝えします。
高専から地方公務員になるのってどうかな。不遇だったり、そもそもうちの市役所は「高専卒」の試験区分が無いけど公務員になれるの?なんて考えていませんか。
多くの自治体で、高専生は「高卒区分」で受験でき、不遇ではありません。
高専卒の現役市役所先輩からある中核市の実体験を聞きました。結果、お金と出世は学歴に影響は少ない上に試験は有利であるとわかりました。
20代の時に少し給料が少ないだけかな。
そこで今回は、高専卒市役所職員の待遇と受験区分について詳しく解説します。
高専卒市役所職員の試験と待遇(給与・出世)は?
ここでは、高専OB(先輩)の現役市役所職員に実際に聞いた話から「試験・お金・出世」について解説します。
結論として、お金と出世は学歴に影響は少ない上に試験は有利です。このため、高専で市役所に就職するのはアリです。
ここでの話は「高専先輩の勤務市役所」の場合です。全ての地方公務員にあてはまらないので注意しましょう。
試験は有利
公務員試験は有利です。なぜなら、ライバルが工業高校生だからです。
高専生は工業高校生と比べて、成績が良い生徒が2年間長く学校で勉強しています。
「平凡な高校に3年通った生徒」と「進学校に5年通った生徒」が競争すれば勝敗は明らかです。また、採用する側の目線でも「5年間専門的な勉強をした高専生」は魅力的でしょう。
私自身、高専時代に教授から「うちの高専から市役所は絶対に受かる」と聞いていました。
うちは市役所なら絶対受かるぞ
このように、高専生は公務員試験で有利です。
月給では不遇だけれど生涯賃金は多い
月給では不遇です。なぜなら、高卒と同等かつ大卒より少ないからです。
公務員の給与はほぼ年齢で決まります。そして、高専卒と高卒の20歳の給与は同じです。しかし、22歳の大卒の給与は、同年齢の高専・高卒より1年分多いです。
年齢 | 学歴 | 月給 | 備考 |
18 | 高卒 | 15.5万 | |
20 | 高卒・高専 | 16.5万 | 高専卒初任給=高卒3年目 |
22 | 高卒・高専 | 17.6万 | 大卒1万が多い |
22 | 大卒 | 18.6万 | 同年齢で大卒が1年分多い |
23 | 高卒・高専 | 18.6万 | 大卒が0.6万多い |
23 | 大卒 | 19.2万 | |
・・・ | ・・・ | ・・・ | (1年分の差は縮る) |
60 | 全学歴 | 38.2万 | ずっと平職員の場合 (上限は同じ) |
当記事での給与はざっくり解説。詳しくは公務員の昇給公開!1年で7千円。ずっと上がる?仕組みをやさしく解説(元公務員FP岩崎大さまより)で。
このように、高専卒は2年間長く学校へ通っていた事がプラスになっていません。
高卒と大卒の間ぐらいだと思っていたのになぁ
優秀な成績をとれば逆転可能な仕組みにはなっています。しかし、1~2年で「優秀」判定はほとんどありません。
このように、高専卒は大卒と比べて月給が少ないです。
生涯賃金で考えると
月給は少ないが、生涯賃金は大卒より多いです。高専卒は2年長く働くため、大卒との差額より多く稼げます。
定年を60歳だと大卒は38年働きます。そこでボーナスを4.5月分(R5.12月現在の実支給月数)として比較してみましょう。
計算の結果、高専卒2年間の収入は大卒との差額より大きいですね。このように、生涯賃金ではお得です。
同期と比べたら少ないけれど、同年齢だと大差ないしな~
出世は平等
出世は学歴より能力優先、30代で差が無くなります。また、高卒・高専卒のトップ(部長)職員が複数います。
1回目の昇任は大卒の方が速いですが、2回目はみな同年齢で昇任します。このため、30代で差が無くなります。
学歴 | 最初の昇任 | 2回目の昇任 | 備考 |
高専 | 7年目以降(25歳以降) | 12年目(32歳) | 先輩から聞き取り |
大卒 | 3年目(24歳) | 10年目(32歳) | 〃 |
また、高専・高卒の部長もいれば平職員のまま定年する大卒もいます。土木職の部長3人の内、大卒は2人、高専卒は1人です。
新卒の採用比率が「大卒:高校・高専卒=2:1」のため、部長職の比率は妥当。大卒優遇ではありません。
大卒の方が多いから、管理職もそうなってるだけかな
このように、トップまでの出世は学歴より能力が優先されます。
高専卒は地方公務員にどの区分で受験するのか
高専生が地方公務員(県や市町村)試験を受ける場合、多くの自治体で「高卒程度」となります。
多くの市町村は「大卒・高卒」の採用枠しかありません。高専卒の試験があるのは、大都市ぐらいです。
私の住んでいる中核市も大卒or高卒しかない
実際に高専卒採用がある市役所と無い市役所を見てみましょう。
多くの自治体で高専卒は高卒枠で受験できるため、公務員試験を受けられないことは少ないです。
高専卒用の試験区分がある市
高専卒専用の試験区分がある「大阪市」を紹介します。
大阪市では大卒、短大・高専卒、高卒の3種類があります。高専卒は高卒区分も受験できるため、不合格の場合、再チャレンジできますね。
【受験資格など】
参考:令和5年度大阪市職員採用試験のご案内より
- 大学卒業程度
H6.4.2~H14.4.1生まれ(R6.4.1で29~22歳)
※R6.3月までに大卒見込み含む- 短大・高専卒程度
H14.4.2~H16.4.1生まれ
(R6.4.1で21~20歳)
※大卒は除く- 高卒程度
H14.4.2~H18.4.1生まれ
(R6.4.1で21~18歳)
大阪市のように、高専卒専用の受験区分を用意している市町村もあります。
高卒だと受けられないから、高専に行った甲斐があるね
高専卒用の試験区分が無い市
高専卒専用の試験区分がない「福井市」を紹介します。なお福井市は、県庁所在地で中核市(大きめの市)です(参考:中核市市長会)。
福井市の採用試験では、土木はAとBの2種類あります。しかし、Aが大卒、Bが短大・高卒と区分されており、高専卒と高卒は同格扱いです。
【受験資格】
参考:令和5年度福井市職員採用候補者 前期試験案内および後期試験案内より
- 土木A(大学卒業程度)
S63.4.2~H14.4.1生まれ
(R6.4.1で35~22歳)
※R6.3月までに大卒見込み含む- 土木B(短大・高校卒業程度)
H14.4.2~H18.4.1生まれ(R6.4.1で21~18歳)
福井市のように、高専卒用の試験が無い市役所もあります。
2年多く学校に行っても扱いは同じか…
まとめ
今回は、高専卒で地方公務員になった先輩の実体験を元に解説しました。大都市以外は高専卒採用枠が無く、不利に見えます。
しかし、ライバルが高校生のため試験自体が有利です。また、出世・給与も総合的にみて不利でありません。
1歳年下の大卒よりは給与も高いし、昇任試験も早く受けられるからね。
法令でルールが整備されている分、民間よりも学歴差別がしづらいのかもしれませんね。
高専卒の地方公務員は生涯賃金が大卒より多く、最上位職まで出世できます。試験も有利なので、就職先としておすすめです。
- アラサー理系リーマン
- 高専卒(土木)
- 中学成績:上位20%以下(推薦✖)
- 高専成績:最高3位(3年時、4年時は中の下)
- 就職先:電力子会社(3年勤務)
- 転職先①:地元有名企業(6年勤務)
- 転職先②:電力会社(←イマココ)
以上、優でした。
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