そろそろ卒業だけれど、就職か進学どちらにしようかなって迷っていませんか。
高専卒で就職すると「待遇」「勤務地」などに格差があります。大学に行けばよかった、と後悔するかもしれません。
高専卒には大企業への就職が簡単、というメリットがあります。しかし、会社によっては大卒との格差が大きいです。
私自身、大卒との待遇差から後悔しました。もっと会社の情報収集を行うべきでしたね。
そこで今回は、高専卒で就職して後悔する4つの理由とその対策を詳しく解説します。
高専卒で就職して後悔する4つの理由
高専卒での就職は、待遇や勤務地などの格差から後悔することがあります。
たとえば、同期(大卒)と同じ仕事をしているのに、給与が少ないと不満ですよね。ここでは4つの後悔を詳しく解説します。
給料や昇進の遅れ
一般的に、高専卒は大卒・院卒より給与が少なく昇進が遅いです。
実力主義の会社でも若いうち(特に20代)は評価しづらく、大卒との差が埋まるまでに時間がかかります。
高専みたいに技術職だと、営業みたいに差がわかりづらいからね
ここでは、給与・昇進など社内待遇からくる後悔理由を解説します。
初任給は大学卒より低い
高専卒は大卒より初任給が低いです。大卒とは約2.6万も差があります。
学歴 | 初任給 | 年齢 |
大学院(修士)卒 | 276.0 千円 | 24 |
大学卒 | 237.3 千円 | 22 |
高専・短大卒 | 214.6 千円 | 20 |
高校卒 | 186.8 千円 | 18 |
高専卒は大卒より2年早く働き始めるため、同年齢までに昇給します。しかし、これを考慮しても同じ22歳時点では低いです。
1万円/年の昇給と仮定しても、大学卒より3千円給与が少ない。
214.6千円+(10千円/年×2年)=234.6千円(高専卒3年目)<237.3千円(大卒1年目)
このように、年齢を考慮しても高専卒は大卒より給与が低いです。
昇進が遅い
一般的に高専卒は大卒より昇進が遅いです。同じ年齢でも、大卒は高専卒より高い職位が設定されています。
就活時点ではわからない会社が多い一方、総合職(大卒以上)・一般職(高卒以上)と分けている企業もあります。
実力主義でも、スタートに差があるから出遅れる
高専卒は大卒と比べてスタートが遅れるため出世に不利です。
勤務地や職場の選択肢が少ない
勤務地・職場の選択肢が少ないことも、後悔の原因となります。
大学卒の場合は本社、一方で高卒・高専卒は現場配属(支店や営業所など)が多いです。
また、本社勤務でも花形部署や昇進しやすい部署に大卒が多いこともあります。
このように「東京の企業でも高専卒の場合は地方配属」と入社後に知る後悔もあります。
ある会社(上場企業)は高専卒はみな現場
私が就職した会社の親会社(上場企業)の話です。
同期には院卒と高専卒、計15名ほどいました。しかし院卒は東京本社か研究所、高専卒は全員地方に配属されました。
このように、学歴で配属先が決まる会社もあります。
東京で働きたい!って人は要注意
一部の国家公務員総合職の中途採用は大卒が必須
一部の公務員試験では大学卒業が必須です。実際に国土交通省(総合職)では「大学卒業」を要します。
応募資格
大学・高専等卒業後、民間企業、官公庁、国際機関等において、正社員・正職員として従事した職務経験が令和6年6月1日現在で通算7年以上となる者(高専等卒業後の職務経験の場合にあっては、令和6年9月末までに大学卒業若しくは卒業見込みであること)
出典:令和6年度 第1回国土交通省選考採用試験(社会人経験者・総合職(技術系)相当・課長補佐級)受験案内より
このように、一部では高専卒は「一般職のみ」と選択肢が狭くなります。
応募資格
以下の条件をすべて満たすものとする。⾼等学校を卒業後、⺠間企業、官公庁、国際機関等において、職務経験が令和6年9月1⽇現在で通算9年(専修学校の専門課程、短期大学又は⾼等専門学校を卒業した者にあっては7年、大学卒業又は大学院を修了した者にあっては5年)以上となる者であって、これらの職務経験を通じて体得した効率的かつ機動的な業務遂行の手法その他の知識及び能力を有する者。
出典:令和6年度(第3回) 関東地方整備局選考採用試験のご案内(社会人経験者・係長級(技術))より
・⺠間企業、官公庁、国際機関等において、電気、電⼦、情報工学、機械、土木、建築、材料工学、農業農村工学、林学又は砂防に関する職務経験を有するもしくは、⾼等学校、⾼等専門学校、短期大学、大学又は大学院等において、電気、電⼦、情報工学、機械、土木、建築、材料工学、農業農村工学、林学又は砂防に関する課程を修めて卒業又は修了した者。
仕事内容に対する不満
仕事内容に対する不満は2種類です。大卒と配属先が異なる場合、同じ場合でそれぞれ違う声があります。
大卒は本社勤務、高専卒は現場配属という場合は「大卒は本社でスーツなのに自分は作業着で現場か…」という不満です。
一方大卒と同じ職場でも「大卒と同じ仕事をしているのに給与が少ない」と不満が出てきます。
このように、仕事内容は同じでも別でも違った不満を感じるでしょう。
働き始めるのが速すぎた
早く働き始めたことへの後悔もあります。
サラリーマン生活は65歳まで続きます。70歳になる日もそう遠くないでしょう。
そんな長い社会人生活を見通した時「もう少し遊んでおけばよかった」と感じることも…
実際、私以外にも高専卒で働き始めて「時間のなさ」へ後悔を覚える方もいますね。
【二十歳から働き始めた高専卒のブログより】
出典:ボクんちライブ_【体験談】高専卒で就職して後悔した2つのこと。理想の人生は決まってますか?
でも、「今はやりたいことがたくさんあるけど、時間がない」
このように、大学への思いが無くても、二十歳からの就職を後悔することもあります。
高専卒OBに聞いて就職での後悔を防ごう!
就職での後悔を防ぐためには、高専卒OBに話を聞くのが一番です。インターシップ等を通して、高専卒OBから情報収集しましょう。
OBは思っているよりも正直に話してくれます。会社側の人間に見えますが、悪いことも教えてくれるでしょう。
企業説明会で聞く
企業説明会では複数の企業から話を聞けます。高専卒OBがいればリアルな声もきけるでしょう。
採用担当者は「自社を受けてほしい」と思うため、悪い話は聞けません。
しかしOBは違います!彼らもリクルート目的ですが、学校の後輩に聞かれるとつい本音で話してしまいます。
自ら悪い話はしませんが、質問には正直に答えてくれるでしょう。
うちを受けてくれると嬉しいけれど、良く見せる必要はないよね
高専OBなら技術職であり、会社の採用担当であることは少ないです。「OBだから採用担当と行ってこい」と一緒に来ることも多いですからね。
高専OBとは入社・配属後に接します。「自社を受けてほしい」思いより「辞めないように納得して入社してほしい」思いが強いでしょう。
配属後に「現場が嫌だから辞めます」なんて言われないために正直に伝えよう
企業説明会は幅広く情報を集められる場です。高専OBを見つけたら、正直な質問をぶつけてみましょう。
優がリクルーターとして高専訪問したときの話
私自身リクルーターとして学生と1対1で話したことがあります。
私は仕事でしたが「学生には納得して入社してもらいたい」という思いから、悪いところや給与体系などを正直に話しました。
正直に話すと来てくれないかもしれないが…
私自身、後悔したため「同じ思いはしてほしくない」「仕事でも学生を騙したくはない」と感じていましたからね。
実際、私が話した学生は自社を受けてはくれませんでしたが、それで良かったと思っています。
リクルーターも一人の人間。情が湧くため、1対1なら包み隠さず話してくれるでしょう。
インターンシップで聞く
インターンシップは、OBと直接コミュニケーションを取るチャンスです。
インターシップ先の社員は採用担当ではありません。採用担当ほど「自社を受けてほしい」と思っていません。
また、少しぐらい失礼な言い方をしても採用担当に報告しません。報告のほうが面倒ですから。
インターシップは採用担当以外の企業側の人と話せるチャンスです。積極的に質問しましょう。
質問①出身校を聞いて、学歴による配属偏りを確認する
実際に職場を見ながら、それとなく出身校を聞いてみましょう。配属先に学歴の偏りがあるかがわかります。
○○高専から来たんですけれど、高専出身の方っていますか?
この質問なら自然に「高専卒の配属先」が確認できます。高専生が高専卒がいるかを気にするのは普通ですからね。
本社には少ないかな、でも現場に結構いるよ。
高専卒は現場多めか。本社で働きたいなら不向きかな
この場合だと、高専卒は現場配属が多いことがわかります。
いや~高専は数が少ないからね、本社みたいに人数が多い部署なら数名いるかもだけど
高専=現場ではないのか
これなら学歴による配属先の差が無いことがわかりますね。
このように「高専卒はいるか」という自然な質問で学歴による配属の偏りの有無を確認できます。
質問②正直に大卒と高専卒の待遇を聞いてみる
正直に大卒と高専卒の待遇差をきいてみましょう。
「初任給に差はあるけれど出世は実力次第」「一緒に見えるけれど、大卒の方が出世し易い」などリアルな答えが返ってきます。
入社してから知ってやる気を無くされる方が困るから正直に答えよう
待遇を聞くときは少人数、できれば2人がよいでしょう。大人数では正直な意見が聞きづらいですからね。
このようにストレートに待遇差を確認するのもアリです。
質問③入社して後悔したか聞いてみる
「高専卒入社で後悔したか」と聞くのも良いでしょう。
聞いた社員が後悔があれば「大卒ならこうなのに…など」と堰を切ったように話が出てきます。
高専卒だと○○や△△ってことがあって後悔してるかな…
反対に「高専卒ならではのメリットもあるから良かった」という場合もあります。
自分のレベルだと、この企業に大卒で入れなかったかな
ストレートな質問をぶつけてみてデメリットを聞き出してみましょう。
クラスメイトや教授の伝手でOBを紹介してもらう
高専のクラスメイトや教授からOBを紹介してもらうのも良いでしょう。
紹介OBはプライベートのため、一番正直に話してくれます。実際、私が話したOBは「ぶっちゃけた話」を沢山してました。
うちの会社は風通しはわるいよ
仕事のスケールは想像よりも小さいよ、まあでも給与は同級生より高いかな
このように、人伝手に紹介されたOBはプライベートで話します。リアルな声を集めるために紹介をお願いしましょう。
高専卒就職にはメリットもある
高専卒就職にはメリットも大きいです。特に大企業への就職は、大学に引けを取りません。
ここでは、高専卒ならではなのメリットを詳しく解説します、
大企業へ就職し易い
高専卒は企業からの評価が高く、大企業へ就職し易いです。「有名大学」でない限り、進学で就職メリットを失うかもしれません。
二十歳からお金を稼げる
高専卒は二十歳からお金を稼げます。早めに自立したいなら大きなメリットでしょう。
私自身、親元から離れたいことも高専卒で就職した理由の一つです。
高専卒で就職すれば、学校生活に使う時間でお金を稼げます。アルバイトと両立するよりも時間があるかもしれませんね。
このように二十歳から働くこと自体にメリットがあります。
大卒プレッシャーがない
さまざまな学歴の人が集まると大卒に期待がかかります。イマイチだと「あいつは大卒なのに…」と陰口を叩かれることもあるでしょう。
特に高学歴であればなおさらです。そんな影響もあり、北海道大学出身の同期は、大学名を隠していました。
実際「東大なのにイマイチな○○さん」って言われてる人もいたなぁ
一方、高専卒・高卒でであれば「まだ若いから」と多めに見てもらえます
学歴が良ければその分プレッシャーがかかります。のびのびと仕事に打ち込めることは「高専卒」の大きなメリットです。
それでも高専卒のせいにしたくないなら進学しよう
「高専卒だから…」とあきらめたくない場合は進学しましょう。社会人になって大学進学するのは大変です。
まとめ
今回は高専卒で就職して後悔する理由を解説しました。
高専卒は大卒と比べて、待遇や勤務地などの条件が悪い会社があります。後悔しないよう、OBを通じて情報収集しましょう。
一方、大卒プレッシャーが無いなど高専卒ならではのメリットもあります。
正しい情報を入手し、自分に合った道を選びましょう。
以上、高専時代に「とりあえず」で会社を決めて後悔した優でした。
コメント