高専か工業高校、どちらに進学しようかな。どちらも工業の学校だけれどどう違うのかわからない、なんて考えていませんか。
高専と工業高校、最大の違いは「卒業後の進路」です。
私の高専クラスメイトは就職なら大企業、進学は国公立が大多数でした。一方、工業高校の友人は地元企業が多く、進学者は工業大学・専門学校でした。
今回は高専と工業高校の違いについて解説した後、向いている学校を紹介します。
- アラサー理系リーマン
- 高専卒(土木)
- 中学成績:上位20%以下(推薦✖)
- 高専成績:最高3位(3年時、4年時は中の下)
- 就職先:電力子会社(3年勤務)
- 転職先①:地元有名企業(6年勤務)
- 転職先②:電力会社(←イマココ)
高専と工業高校の違い6選+α!
高専と工業高校はどちらも工業系技術者になれます。しかし入学難易度・在校期間・卒業後の進路など大きな違いがたくさんあります。
ここでは、国立工業高専と工業高校の違いを詳しく解説します。
工業以外の高専もあるけれど、今回は割合が多い国立工業高専について解説
在校期間|高専は5年・工業高校は3年
高専と工業高校の大きな違いは「在校期間」です。高専は5年間、工業高校は3年間通って卒業します。
高専は大学程度の知識・技術、工業高校は実践的な技術を身につけます。
このため在校期間に差がでます。
偏差値|高専は入学難易度が高い
高専と工業高校は偏差値が大きく異なるため入学難易度が違います。一般的に高専は入学難易度が高いです。
偏差値 | 平均 | 参考 | |
国立高専 | 58~69 | 63ぐらい | じゅけラボ予備校 |
工業高校 | 36~58 | 45ぐらい | みんなの高校情報 |
私の地域では高専は進学校と同等、工業高校はクラス平均レベルでした。高専は厳しいから工業高校へ進学する、とい友人もいましたね。
このように高専と工業高校は偏差値が異なるため入学難易度が違います。
就職|就職のしやすさは大差ない
高専・工業高校はどちらも就職に有利です。しかし就職先や待遇(給与など)が異なり、高専の方が有利です。しかし就職先によっては大きな差がありません。
ここでは就職について、就職しやすさ・就職先と待遇(給与など)について解説します。
就職しやすさ
高専は求人倍率が20倍、工業高校が15倍。高専の方が選択肢が多いでしょう。
求人倍率 | 参考サイト | |
高専 | 20倍以上 | 独立行政法人 国立高等専門学校機構 概要(2023年度) |
工業高校 | 15.12倍 | 公益社団法人 全国工業高等学校長協会 卒業者等に係る状況調査 |
全国 | 1.31倍 | 厚生労働省 一般職業紹介状況(令和5年12月分及び令和5年分)について |
しかし、工業高校も全国の10倍以上で充分高いです。このため、就職のしやすさに大きな差はありませんね。
就職先
高専は全国の企業、工業高校は地元からの求人が多いです。
実際に高専生を積極採用する大企業も複数あります。
参考:日本経済新聞 製造業だけじゃない 高専生の就職先ランキング
大企業なら高専の方が有利でしょう。
待遇(給与など)
待遇は「高専≧工業高校」です。高専が良い場合が多いですが、同待遇の会社もあります。
初任給は高専の方が高いです。これは年齢によるところが大きく、同年齢なら大きな差はありません。同い年の給与であれば1万円変わるかどうかでしょう。
僕が二十歳で就職した会社は高専≒高校卒だったよ
短大卒枠がない公務員は大差ありません。むしろ、工業高校卒の方が早く働き始める分、能力的に有利かもしれませんね。
このように高専が少し良い待遇、という程度です。
進学|国公立なら高専の方が多い
進学は高専の方が有利です。なぜなら高専は国公立、工業高校は私立の工業大学が中心だからです。
一般的に私立工業大学より国公立大学の方が偏差値が高いです。
工業大学は就職先が良いため、必ずしも偏差値が高い方が良いとは限りません。しかし、私立が多く学費の面では不利です。
工業高校は、工業系専門科目に加えて普通高校と同じような一般科目を勉強します。このため、一般科目の勉強が薄く普通高校より受験に不利です。
一方高専は大学編入制度があり、試験に合格すれば4年制大学に編入学できます。
編入専用の試験だから、一般科目の薄さは不利にならないね
また、高専には本科卒業後に2年間専門教育を行う「専攻科」があります。専攻科を修了すると、大卒同等として扱われます。
このように、高専は進学に関する制度が整備されているため有利です。
先生|高専は教授・工業高校は教師
高専と工業高校では先生の立場が違います。
工業高校の教員は普通高校と同じ教師ですが、高専の教員は大学と同様「研究職」です。
僕の高専教員は「教授」「准教授」っていう肩書だったなぁ
また高専教員は、大学院の修士・博士課程を修了した教員が多いことも特徴です。
大学院は大学卒業後に研究のため進学します。最初は2年間の修士課程を行います。その後、就職するか博士課程(3年)に進学するか決められます。
このように、教員の専門性も高専と工業高校の違いです。
卒業研究|高専では卒業要件
高専は卒業研究がありますが、工業高校にはありません。
卒業研究は5年生で1年間教授のもとで研究し、その成果を卒業論文としてまとめます。これを提出しなければ卒業できません。
多くの大学でも卒業研究があるため、大学程度の教育を目的としている高専ならではの特徴ですね。
卒業のために1年間研究して卒業論文を書く必要がある。これも大きな違いの一つです。
その他(学費・教育目的・校則・学校数)
学費、教育制度、校則、学校数なども高専と工業高校では違います。
これらの違いは将来に影響はありません。しかし、家庭状況によっては大切です。進学判断への影響は少ないですが、違うことは抑えておきましょう。
高専がおすすめな人
高専がおすすめな人は大企業で活躍したい人です。
高専であれば、上場企業に就職できます。誰もが知っている有名企業に行ける可能性も高いでしょう。
学科 | 就職先企業 |
機械 | 関西電力、京セラ、小松製作所、マツダ |
電気電子 | 沢井製薬、東京電力HD、ニデック |
電子情報 | セーレン、日本ビジネスシステムズ、メンバーズ |
物質 | カゴメ、ダイキン工業、東レ |
環境都市 | ダイワハウス、東京水道、県庁・市役所 |
また、私が転職時にみた応募条件でも「学歴:高専卒以上」とする会社も多々ありました。学歴で切られないためチャンスが多いです。
「学歴:大卒以上」も多いけどね
このように地元を飛び出して大企業で活躍したい方には高専がオススメです。
工業高校がおすすめな人
工業高校がおすすめな人は地元で就職したい人です。他にも学費を抑えたい、早く社会に出たい人にもおすすめですね。
工業高校は地元企業の就職には十分強いです。近年は工業系の求人倍率が高いため、希望する会社へ就職しやすいでしょう。
実際に福井県立科学技術高等学校(旧工業高校)の就職先に「セーレン」という県内上場企業があります。他にも福井県内で有名な企業があります。
参考:福井県立科学技術高等学校進路指導部 令和4年度進路状況より
また県外でも「荏原製作所」のような上場企業、JR貨物・電力会社のようなインフラ企業もあります。
在学中に気持ちが変われば、大学受験もできるね
このため、地元で就職したいと考えている方は工業高校進学をオススメします。
まとめ
今回は高専と工業高校の違いを解説しました。
同じ工業の学校でも「在校期間」「偏差値」「就職先」「進学先」など全然違いますね。
大企業志望なら高専、地元志向なら工業高校など、自分に応じた学校を選択しましょう。
高専は留年が多いなどデメリットもあるから最適とは限らないよ
以上、高専卒業生の優でした。
- アラサー理系リーマン
- 高専卒(土木)
- 中学成績:上位20%以下(推薦✖)
- 高専成績:最高3位(3年時、4年時は中の下)
- 就職先:電力子会社(3年勤務)
- 転職先①:地元有名企業(6年勤務)
- 転職先②:電力会社(←イマココ)
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